雑記


奄美大島に115年ぶりの雪をもたらした寒気も去り、冬の太陽が薄く長い陽だまりを床に落とす午後。

一昨年の秋に14年間暮らした京都から奈良に転居。結婚した人は陶芸家で、自宅は工房とガラス扉1枚を隔てて隣り合っているような環境で暮らしています。朝昼晩と顔をつき合わせて食事を取り、彼が仕事(制作)をしているときもずっと相手の気配はあるので、同居してまだ1年と少しですが共働き夫婦の5年分くらいの時間をすでに一緒に過ごしているような気がします。

私は1歳から乳児用保育園に預けられて育ったので、1人の人とこれだけみっちりと一緒にいるのってもしかしたらそれ以来のことなんじゃないの…? となり、これから先に彼と過ごす時間の膨大さになんだかクラクラとしてしまうのでした。昔患った病気の影響でどうも子供も難しめなようなので、これから何十年という歳月を彼と、ほぼ二人きりで…! はー、やっぱりなんだかクラクラするー

働きに出ることを考えもするけれど、奈良の街に出るまででも車で1時間弱かかることを思うと二の足を踏んでしまうのも事実。在宅でできるような仕事があればいいのかな。これはちょっと検討しよう。
専業主婦の日々は、家事が苦にならないタイプである自分には天国すぎて「こんな極楽ゴキゲンな日々を送っていたらそのうち何か罰が当たったりするのでは???」と怖くなるのですよねー。

ただ、山での暮らしは不便もありつつやはり楽しいです。不便さに関していうと、ここに来た頃はネット環境もTVもなく、携帯の電波もリビングの一角でやっと通話ができるくらいの微弱さで、世の中の情勢を知ろうと思ったらラジオのみが頼り。水道は通ってないないので井戸水(しかも来たばかりの頃に1度枯れた!)で、お風呂場以外の蛇口からはお湯が出ず…という環境で、事前に聞いてはいたものの、実際に暮らしてみたらやっぱりつらいなぁと若干元気を失いかけていたのですが、冬が来る前にキッチンに瞬間湯沸かし給湯器を設置してもらい、春にようやくネット環境が整ってからは、ここでの生活に慣れたこともあり見る見る生気を取り戻していったのでした。思えばあの半年間、街に行けば血眼でwifiを探していたなぁ。

楽しさはというと、季節が近いところがすごくいい。毎朝、起きて身支度をしたら1時間弱の散歩をするのですが、今なら今日は霜で一面真っ白!とか、昨日の風でヤブツバキが道一面に落ちているとか、陽の色、風のにおい、霧の濃淡、1日だって同じ朝はないなーみたいなのが、目に肌にぶわっと迫ってくるような感じです。あと、野鳥がめっちゃいる。そして野鳥に詳しい夫がいちいち今鳴いた鳥の名を教えてくれる(覚えられない)のも楽しいです。

結婚を決めたとき、これまでの生活とかけ離れた嫁ぎ先の環境にそれなりの不安はあったのだけど、来てみればやっぱり良かったなと思います。犬ものびのび楽しそうにしているし、初めて飼う猫もかわいい。昔、勤め先の上司に「石橋を叩きすぎで壊すタイプやな」と言われたことのある私ですが、エイヤっと飛び込んでよかったな。