収まる形/明治後期のグラス

毎日使うものほど、ちゃんとしたのを選びたいほうです。その理由は前に一度書いた通り。コップなんて、毎日使うものの最たるもので、言うなら寝起きのいっぱいの水を飲むために、朝一番に手に取るものです。だから、中途半端にいいものを買うのはやめようと思っていたのですが、先日京都の大吉さんでついに納得のいくものを見つけました。明治後期のものです。

溶けそうに薄い緑色ととろみのある肌、すっとしたフォルム。飲み口は薄手で唇のさわりがよく、だけど骨董らしいガタつきがところどころにあって愛嬌があります。さらに、底にはガラスがたっぷりと沈んでいて置いたときの安定がいいのです。素敵。こういうのを待ってた!

骨董の吹きガラスは、形もいびつだし、気泡がたっぷり入っているし、色のグラデーションも均一でないしで、いまの物と比べるとぜんぜん「なってない」のかもしれません。けれどその分親しみやすいもので、まだ2度使っただけなのですが、すでに私の手になじんでいて、まるで数年前からそこにあったような風情で食卓机にちょこんと座っています。