その気持ちをなんて呼ぶの


オレンジジュースを飲んでたら、祖母が危篤のときに、病院にかけつけた叔父が自販機で買ったパックジュースを一気に飲んだ光景を唐突に思い出した。ほとんど一息に飲んだせいで、パックは一度も元の形に戻ることのないまま、きゅーと縮んでいって、そのままの形でゴミ箱にぽいと捨てられた。なぜだか、そのとき私はひしゃげていくそのパックから目を離せなくて、ゴミ箱の一番上でゆっくり空気を吸っていくパックを見て、ようやくはっと我にかえった。あれはなんだったんだろう。私の肺のなかの空気も、ジュースと一緒に吸い上げられてるみたいな気持ちになって苦しかった。祖母の死の記憶は曖昧なのに、そんなところだけやけにはっきりしていて、なんだかおかしい。いまもたまに、同じような気持ちになることがあるんだけど、その正体はつかめないまま、やっぱりしばらくするとふっと私から離れていってしまうんだよなぁ。