ネムの花

f:id:cocoa1127:20210711105014j:imageいつもの散歩道にネムの花が落ちていました。まだ色も形もしゃんとしていて、そのまま捨て置くのは惜しい愛らしさです。白い鳥の綿毛を先端だけさっと紅色に浸したような見事な自然の彩色。時折出会う自然の美しさにこうも心惹かれるのは、年のせいでしょうか。   

さかのぼってみれば、このブログの初投稿が2010年。初めて手にした一眼レフを額に押し当て、スカートの裾を水たまりに浸しながら道端の紫陽花を撮影していたあの日の自分を、昨日のことのように思い出せます。 

あれから11年。  

人間的な成長は止まったまま、歳月ばかりが重なったように感じています。京都から奈良に住まいが移り、手をつないで歩く人が変わり、リードを引きちぎらんばかりに駆けた飼い犬はひと回り小さく細くなり、5cmの段差を降りるのもためらうようなりました。毬のような仔犬を迎えた時にコーギーの平均寿命を調べ、じゃあ私は38歳か、遠いなぁと笑った未来をすでに通り過ぎ、私は今年39歳になります。  

そっと手のひらに包んだネムの花は体温で萎れ、どれだけ大切にしていても変わらぬまま留めておけるものはないのだと、ぼんやり思うのでした。